2021年第1四半期 決算発表:テスラ
#263
こんにちは、チャーリーです!
2020年に大きく上がった銘柄の1つであるテスラが2021年4月26日に第1四半期決算の発表を行いました。
決算発表をしてから10日近く時間が過ぎましたが、発表後の株価がパッとしません。
決算発表前の株価が738.20ドルでしたが、5月4日の終値は673.60ドルと8.75%も株価が下がっています。
今回は決算発表後になんでテスラ株が下がっているのか?を考えてみたいと思います。
まずはテスラの株価推移から見てみます。
過去2年間で14.39倍も株価が上がっているのは凄いの一言です!!
業績を調べてみます。
以下の表はすべてテスラの四半期報告書から数字を拾って作成しています。
四半期報告書はこちら
売上高
営業利益・純利益
純利益が過去最高益を更新しているので、これだけ見ると絶好調と言ってと思います。
絶好調なのに株価が下がっているので、純利益が最高益になった理由を調べてみます。
最高益になった理由は2つありました。
・ビットコインの売却益が1.01億ドル計上されている。
→2021年2月8日にビットコインを15億ドル(約1620億円)購入して、3月末までに2.72億ドル(約293億円)分を売却して、1.01億ドルの利益を計上。
・排出権取引の利益が過去最高益を更新していた。
排出権取引とは…(難しかったらこの部分は飛ばしても大丈夫です)
世界各国が今カーボンニュートラル(実質二酸化炭素の排出をゼロにする)を目指していろいろな実行しようとしています。
そのうちの1つがガソリン車から電気自動車への移行です。
ただ、各企業によって二酸化炭素を削減できる量に差が出てしまいます。
そこで二酸化炭素の削減が思うようにできない企業は、二酸化炭素を削減できている企業から排出権(二酸化炭素を削減できたことにしてもらえる)を買い取ります。
テスラは電気自動車を製造・販売しているので、二酸化炭素を削減できている企業です。この排出権を売却する側の企業なんです。
毎期この排出権取引の利益を計上していますが、2021年第1四半期決算はその排出権取引の利益が今まで一番大きかったです。
この排出権の利益を含まなかった時の純利益を計算したいと思います。
これを見ると、排出権の利益がなかったらテスラは毎期赤字です!!
今までもそうだったのに、今回はなんでこのことに注目したかというと…
「世界各国の自動車メーカーがこぞって電気自動車に参入することを表明しているから」です。
今まではガソリン車しか作っていなかった自動車メーカーにテスラは排出権を売却して利益を計上していましたが、今後は各社が電気自動車を作ることによって、排出権を買い取ってくれる企業が少なくなる可能性があります。
※ 自動車メーカーに限らず、世界の各企業がカーボンニュートラルに向けて企業活動しています。
もし仮にそうなると、本業である自動車の販売台数がもっと増えないと業績がすごく厳しくなります。
自動車の販売台数の推移
自動車を今まで以上に販売しないといけないのに、世界的に半導体不足に陥っているので、しばらくの間は自動車も思うように作れなくなる可能性もあります。
以上のことでテスラの株価が下がっているんだと思います。
整理すると…
テスラの業績は過去最高益を更新していますが、中身を細かく見るとまだまだ綱渡り状態の企業ということがわかります。
今回の業績でビットコインと排出権取引の利益を除くと1.55億ドル(約167.4億円)の赤字になってしまいます。今後は自動車の販売が鍵になるにも関わらず、世界的に半導体不足になっているので自動車製造に影響が出てくる可能性が極めて高いです!
テスラ株に投資している人や投資しようとしている人は、今後はその辺のことを十分に理解して投資した方がいいと思いました。