トヨタ株があんまり上がっていない理由

#669

こんにちは、チャーリーです!

私は投資セミナーの中で想像しやすいようにキッコーマンを例に出して株式投資(長期投資)をするときに気を付けないといけないポイントを話します。

キッコーマンについては(2022年4月-6月期 決算発表:キッコーマン)を参照してください。

その時にトヨタ自動車と比較するので高確率で質問されることがあります。

それは「トヨタも海外で販売しているから株価は上がるんじゃないの??」です。

 

この理屈は、人口が増えている国で売上(利益)を伸ばしている企業は今後も成長する可能性が高い、株価も上昇することが期待できるというものです。

 

まずはトヨタ自動車とキッコーマンの株価比較を見てください。

   

念のため日経平均株価も加えましたが、一目瞭然でキッコーマンの株価が上昇しています。

2010年1月4日~2022年9月9日

・キッコーマン

 1,143円→ 8,690円

 上昇率:7.60倍上昇

・トヨタ自動車

 778円→ 2,078.50円

 上昇率:2.67倍上昇

・日経平均株価

 10,654.79円→ 28,214.75円

 上昇率:2.64倍上昇

 

この状況を見た時に前述の「トヨタも海外で販売しているから株価は上がるんじゃないの??」という質問がほぼ間違いなく出ます。

 

この質問に対しては業績を見たらすぐ答えがわかります。

以下の表は各社の有価証券報告書から数字を抜粋して作成しています。

※ トヨタが2004年までしか遡れなかったので2004年以降になっています。

数字がごちゃごちゃして見づらいのはご容赦ください。

リーマンショック前の2008年3月を基準にしてEPS(1株あたりの利益)がどれくらい増加しているかを計算してみます。

・トヨタ自動車

 108.08円→ 205.23円

 EPS増加率:89.88%増加

・キッコーマン

 59.12円→ 202.94円

 EPS増加率:3.43倍に増加

この業績の差が株価上昇率の差になっています。

 

 

トヨタ自動車も人口が増えている海外で販売しているはずなのに、なんで業績の伸びがイマイチなんでしょうか??

その謎を紐解くために国内外の売上高を調べてみます。

※ キッコーマンが2009年以前は利根コカ・コーラボトリング事業が業績に含まれていたので、2009年以降を載せています。

両社に共通していることは「青色の国内売上高はずっと横ばい」ということです。

これは人口が減って消費者が減っているので伸びないのは当たり前です。

 

あと忘れてはいけないことは、オレンジ色の海外売上高はどちらが増加基調なっているのかということです。

着実に増加基調になっているのはキッコーマンということがわかりますか??

金額の多寡は関係ありません。

 

 

次に営業利益ベースでも見てみます。

営業利益でも一緒です。

オレンジ色の海外営業利益が着実に増加基調になっているのはキッコーマンというのがわかります。

そもそも、トヨタは営業利益の海外比率は50%前後なのに対して、キッコーマンは77.3%もあります。

 

これが人口が増えている海外で利益を伸ばしている企業とそうじゃない企業との差なんです。

トヨタはキッコーマンと比べると海外事業で利益があんまり伸びていません。

両社の株価上昇率が大きく違う理由がわかっていただけましたか??

 

 

整理すると…

結局は株価が上がるかどうかは純利益が伸びるかどうかで決まります。

純利益を見てもEPS(1株あたりの利益)を見てもトヨタも伸びていることは間違いありません。

だからこそ、2010年からトヨタも株価が2.67倍になっているんです。

ただ、キッコーマンと比べるとどうしても見劣りしてしまいます。

それがそのまま株価上昇率の差になっています。

上記の業績推移を見た時に、今後もどちらが増益になっている可能性が高いと思いますか??

社名を伏せて見た時に増益基調が今後も続くのはどちらだと思いますか??

たぶん十中八九キッコーマンと思うと思います。

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