440億ドルの買収が完了:S&Pグローバル
#512
こんにちは、チャーリーです!
2022年2月28日にS&PグローバルがIHSマークイットを負債込みの440億ドル(約4兆8400億円)で買収が完了しました。
2020年11月30日にS&PグローバルがIHSマークイットを買収すると発表していましたが、米国の反トラスト法に抵触してしまうので、条件付きで当局の承認を受けていました。
条件付きとは
IHSマークイットが運営している価格報告機関(PRA)の3事業を売却することです。
「石油価格情報サービス(OPIS)」
「石炭・金属・鉱業(CMM)」
「石油化学ワイヤ(PCW)」
この3事業を11億5000万ドル(約1265億円)でニューズ・コープに売却が完了したことで、S&PグローバルによるIHSマークイットの買収も完了しました。
そもそもIHSマークイットとはどういう企業なのか??
経済・金融などのデータを算出して提供している企業です。
例えば
・製造業PMI
企業の購買担当者らの景況感を集計した景気指標。株式等の運用担当者の注目度が高い指標の1つ。
・ABX指数
サブプライムローンの担保証券を対象とした信用デリバティブ指数。
他に、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の取引価格を提供しています。
この買収が完了したと同時にS&Pグローバルが2022年の業績予想を発表しました。
・この買収により希薄化後のEPSが13.30ドル~13.50ドルになる。
・合併に伴う相乗効果の年間収益は3億5000万ドル。
・2023年に50億ドルを超える年間フリーキャッシュフローを生み出す。
※ 2021年度のHISマークイットの買収費用を除いたフリーキャッシュフローは35億ドル。
・2022年に120億ドルの自社株買いを実施。
・四半期配当金を10.4%増配する。
※ 1株あたり77ドル→0.85ドルに増配した。
この増配で49年連続で増配したことになります。
このようにこの合併によりS&Pグローバルはより強靭な財務体質になりました。
利益が伸びるのはありがたいですが、一番すごいのはフリーキャッシュフロー(自由に使えるお金)が一気に増えることです。
フリーキャッシュフローの推移を見てみます。
2017年度:17.8億ドル
2018年度:18億ドル
2019年度:25.2億ドル
2020年度:33億ドル
2021年度:35億ドル
2022年度:予想が発表されていない
2023年度:50億ドル(会社予想)
これだけ潤沢なフリーキャッシュフロー(自由に使えるお金)があれば、今後も増配・自社株買い・企業買収を積極的に行えるようになります。
整理すると…
今回のHISマークイットの買収により、S&Pグローバルの競争優位性が増したということは言うまでもありません。
買収を通じて「堀」をどんどん深くしていっているので安心して長期保有できます。
しかも最後に書きましたが、フリーキャッシュフロー(自由に使えるお金)がどんどん増えていっているので、今後もますます「堀」が深くなる可能性が高いです。