半導体にさらなる逆風が吹き始めた

#660
こんにちは、チャーリーです!
全体的に株価は軟調に推移していますが、その中でひと際冴えない業界があります。
それは半導体業界です。
半導体業界の株価指数を見てください。
コロナが大流行した後は大きく上昇していますが、今年に入った辺りから大きく下落しています。
半導体業界だけじゃなく、2022年に入ってから全体的に下がっているのはたしかですけど、半導体業界は下落率が大きいです。
2022年に入ってから半導体業界が下がった理由は「半導体が過剰に余っているから」です。
半導体が余っていると言われて「???」になっている人がいるかもしれません。
ニュースなどで半導体不足と言っているのは、ロースペックの半導体です。
ロースペック半導体が使われている代表的な製品が「自動車」。
なので自動車がなかなか納車されないんです。
半導体が余って過剰に在庫を抱えているのはハイスペックの半導体なんです。
ハイスペック半導体がなぜ余っているかというと…
コロナ禍の巣ごもり需要で、パソコン、タブレット、テレビ、任天堂switchなどのゲーム機の需要が旺盛になったので大量に生産して需要に対応していましたが、巣ごもり需要が落ち着いてきたので、パソコンなどの電子機器の在庫が増えてきたことでハイスペックの半導体も余り始めたという経緯です。
しかもそのことプラス、日本以外の主要国の中央銀行が利上げに動いて、世界に出回る投資マネーが急激に減ったことで、ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)の価格が急落しました。暗号資産の価格が急落したことでマイニングに使われる半導体需要が落ち込んだこともあります。
マイニングとは、ビットコイン(暗号資産)を“いつ”、“誰が”、“どのくらいの量を取引したのか”を「第三者がチェックして承認する作業」のことをマイニングといいます。
上記のことで2022年に入ってから半導体業界が大きく売られています。
そういう状況にも関わらず、上記のことに加えてさらに逆風が吹き始めました。
それが「輸出規制」です!!
アメリカ政府が2022年9月1日までに半導体大手エヌビディアと米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)に対して、GPU(画像処理半導体)製品を中国・ロシアに輸出するときはアメリカ政府の承認を得ないといけないと通知しました。
その理由は、GPU(画像処理半導体)を輸出すると、それが軍事用途に使用される可能性があるからです。
エヌビディアの発表によると、第3四半期にアメリカ政府の承認の対象となる中国向けの潜在的な売上が約4億ドルあるみたいです。
昨年の第3四半期の売上高が71億300万ドルなので、5.6%の売上高が減少する可能性が出てきました。
繰り返しになりますが、ハイスペックの半導体は在庫が過剰にあるので、そのことだけでもかなり厳しい経営環境なのに、それに加えての「輸出規制」なんです。
このニュースを受けてエヌビディアの株価は前日比7.67%も下落してしまいました。
高値から50%以上も下落してしまいました。
整理すると…
半導体業界はまだしばらくは逆境が続くと思われます。
過剰在庫のことだけ考えても在庫調整に数四半期かかる見通しらしいので6ヵ月~9ヵ月くらいかかると思われます。
輸出規制については規制が撤廃にならない限り半永久的に続いてしまいます。
台湾のことがあるので、規制を撤廃する可能性はかなり低いと思いますが…
安い時期に半導体株を買いたいのはわかりますが、もう少し様子を見た方がいいと思います。