リーマンショック前の野村證券に起きたこと
#757
こんにちは、チャーリーです!
2023年1月25日の日経新聞に興味深くておもしろいことが書いてあったので紹介します。
それは48面(最終面)の「私の履歴書」の内容です。
今月は野村ホールディングス名誉顧問である古賀信行さんの「私の履歴書」です。
※ 野村ホールディングスとは野村證券を傘下に持つ持ち株会社のこと
古賀信行さんは野村ホールディングスの名誉顧問を務めていらっしゃるので、過去には野村證券の社長、会長を歴任されている方です。
その古賀信行さんが「私の履歴書」で何を書いていたかというと…
※ 難しい用語が出てきますが、本文をそのまま抜粋します
2023年1月25日の私の履歴書の内容
「なぜこれほど低いのですか?」
野村ホールディングスが自己資本利益率(ROE)15%を記録した2006年3月期決算に対する、米国投資家の反応だった。
事業に必要な資金をもっと借り入れで賄うようにすれば、ROEをさらに上げられるではないか、というわけだ。
実際、ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーなど証券業を専門とするウォール街の投資銀行は、こうした財務手法を駆使して20~30%のROEをたたき出していた。
~中略~
これが08年のリーマンショックが起きる直前、米国金融市場を支配していた空気だ。
難しいので私なりに意訳します。
米国投資家が言いたかったことは…
野村ホールディングスの収益力が米国の証券会社と比べて低いのは、借り入れ(借金)を原資として投資をしないからだ。
借り入れをしてその資金でサブプライムローン(低所得者向けの住宅ローン)に投資すれば、もっと儲かって収益力があがるのに。
野村ホールディングスが当時、米国投資家の反応を受けてどういう行動を取ったのかはわかりません。
ただ事実としてサブプライムローン(低所得者向けの住宅ローン)関連事業で2007年上半期だけで1000億円をこえる損失を計上しています。
これが米国投資家に言われたから投資したのか、その前から投資していたのかはわかりません。
このことの何が興味深くておもしろいと感じかというと…
平時にはいくら自分のペースを守って投資していたとしても、それを貫き続けることが難しいと感じたからです。
想像してみてください。
つみたてNISAで毎月コツコツS&P500に投資していた時に、友人A氏が「私は今年だけで40%儲かったよ。えっ!?あなたは7%しか儲かってないの??」と言ってきたとします。
もしこんな状況に遭遇したらどういう気持ちになりますか?
当事者の気持ちになって考えてみてください。
さらに友人A氏は「そんな時代遅れの投資手法はやめて私みたいに投資した方がいいよ」と言ってきました。
例えば
成長率がものすごく高い企業に投資すること(ハイパーグロース株)
仮想通貨に投資すること
自動売買で運用すること
テーマ型ファンドで運用すること
アクティブファンドで運用すること
チャートを駆使して投資すること
コロナ初期のマスク関連株のような材料株に投資すること
FX・信用取引で投資すること
→ CFD投資で投資するということ
SNS上で話題になっている銘柄に投資すること
リーマンショック前の野村證券は上記と似たようなことを米国投資家から言われました。
こう言われたときに目移りせず、ウサギとカメのカメさん戦法で自分のペースを崩さずに運用を続けることは思っている以上に難しいです。
今後相場よくなった時のために今の内からこういうことが起こり得ると認識しておけば、多少はカメさん戦法を続けられると思います。
整理すると…
今回書いたことは想像すればするほど現実に起こりやすく、対処するのが難しいと思いました。
私が知っている範囲だと何十年もの間、このことに上手に対処できた人はウォーレン・バフェットとチャーリー・マンガーとガソリンスタンドのおじさんくらいしか知りません。
もちろんその3人は投資で成功しています。
ガソリンスタンドのおじさんのことは(全米が驚愕!!長期投資を実践した人の話(実話))を参照してください。