薬価引き下げのインセンティブ

#881

こんにちは、チャーリーです!

2024年2月12日の日経新聞にすごく奇妙なことが書いてあったので紹介したいと思います。

薬の値段である薬価が下がりにくい商習慣があるらしいんです。

奇妙なことと書きましたが、当該業界ではごくごく当たり前のことらしいです。

 

薬の公定価格(薬価)は厚労省の「薬価調査」で決まります。

病院で処方される医薬品を患者が買う場合、どこで買っても値段は同じなのは厚労省が公定価格(薬価)を決めているからです。

医薬品の卸企業が医療機関などに販売する価格と公定価格である薬価との差を調べて原則2年に1度薬価を見直すと書いてあります。

 

医療機関や薬局も利益を出さないといけないので、安い医薬品を買おうとします。

そのため医薬品の卸企業はできるだけ価格を下げて医療機関や薬局に販売します。

 

ここまでは当たり前のことです。

例えばこんな感じ

 

これが普通の商習慣なのは理解できると思います。

 

でも医薬品の卸企業は競争が激しいために奇妙な仕組みができありました。

卸企業は90円で仕入れたものを80円で販売しているので赤字になっています。

卸企業は激しい競争の中受注したいので、製薬会社からできるだけ高く買おうとします。

赤字の商売をしているのは横に置いておいて1万歩譲ればここまでは理解できます。

競争原理が働いているだけなので。

 

ここからが問題なんです!

なぜか製薬会社は卸企業に対して「払い戻し」という慣習があって、20円を卸企業に「払い戻し」します。

キャッシュバックするんです。

この「払い戻し」があるので卸企業は利益を確保できています。

 

これって初めから製薬会社が70円で卸企業に卸していることと全く同じということが分かりますか??

この奇妙な商習慣のせいで厚労省が公定価格(薬価)を下げにくくなっているんです。

厚労省が行っている「薬価調査」は卸企業が医療機関に販売する価格と公定価格の差を調べて決定するからです。

つまり、この商習慣があるせいで薬価が引き下げにくくなるので、税金が無駄遣いになり、国民負担も大きくなっています。

 

 

話はアメリカに飛びます。

ユナイテッドヘルスも薬剤給付管理(PBM)を運営していて、医薬品を仕入れて医療機関や薬局で販売しています。

アメリカは国民皆保険という制度がないので100%自己負担になります。

それを医療保険でカバーしています。

 

ユナイテッドヘルスはもし仮に無駄に高い医薬品を患者に販売してしまうと、医療保険の給付金負担が増えてしまいます。

保険会社としては給付金負担はできる限り少なくしたいです。

なので安く仕入れて、安く販売することがユナイテッドヘルスにとってはトータルで一番利益が出るんです。

 

日本は国民皆保険なので薬価引き下げのインセンティブが働きにくいというのが根底にあるんだと思います。

今回はごちゃごちゃして難しかったと思いますが、結局はユナイテッドヘルスのビジネスモデルが素晴らしいというのがいいたかったんです。

 

 

整理すると…

調べれば調べるほどこの商習慣はすごく奇妙です。

みんながごまかしなく、正々堂々と商売すれば日本はもっといい国になるのにって思いました。

それと同時にユナイテッドヘルスのビジネスモデルは素晴らしいと再認識しました。

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