2024年4-6月:大手医療保険会社の業績
#991
こんにちは、チャーリーです!
昨日のブログ(処方箋医薬品の値段)では医薬品の値段のことを書きましたが、今回のブログではアメリカの医療保険大手3社の比較をしていきたいと思います。
まずは昨日からの流れでメディカルケア・レシオを比較してみます。
その前に言葉の説明をしておきます。
メディカルケア・レシオとは
…保険料収入に対する医療費の保険金支払いの割合を示す指標
当然この「メディカルケア・レシオ」は数値が低ければ低いほどいいということになります。
2024年4月-6月期
ユナイテッドヘルス:85.1%
エレバンスヘルス:86.3%
センティーン:87.5%
単純に比較してもユナイテッドヘルスの数値が一番低いことがわかりますが、これでも事情があって例年よりは高いんです。
何があったかというと、「サイバー攻撃」です。
サイバー攻撃を受けたので従来通りの手順で保険金給付ができないので、いつもよりも手間がかかって保険金給付額が多くなってしまっています。
ユナイテッドヘルスの発表では、そのことに関するコストでメディカルケア・レシオが0.65%引き上げらえれたとのことです。
ちなみに過去10年間のメディカルケア・レシオの推移は以下の通りです。
ユナイテッドヘルスは他社と比べてもずっとメディカルケア・レシオが低いことがわかります。
その理由は他社と比べて医療費の保険金支払いが少ないからです。
なぜ保険金支払いが少ないかというと…
「薬剤給付管理(PBM)事業」を展開しているからです。
薬剤給付管理(PBM)とは
…処方箋調剤の仕入れ・患者への給付・管理をしている
且つ
薬剤給付管理(PBM)会社は薬局や医療機関が製薬会社からどの医薬品をいくらで買うのかを決めます。
詳細は(薬剤給付管理(PBM)とは)を参照してください。
ユナイテッドヘルスは薬剤給付管理(PBM)部門を持っていることで医療費の保険金支払いを低く抑えられる仕組みを構築できているので、当然保険料利益も他社と比べてもかなり多いです。
保険料利益は私の造語です。
「保険料」-「保険金」=保険料利益
保険料:契約者が保険会社に支払う
保険金:保険会社が契約者に支払う
2024年4月-6月期
ユナイテッドヘルス:11,439百万ドル
エレバンスヘルス:4,844百万ドル
センティーン:4,375百万ドル
念のため過去10年間の保険料利益も調べてみます。
ユナイテッドヘルスが圧倒的な地位を確立していることがわかると思います。
この差は今後も埋まらないです。
なんで言い切れるのかというと、「薬剤給付管理(PBM)」を展開しているのは3社の中ではユナイテッドヘルスだけだからです。
患者の立場で想像してみてください。
ユナイテッドヘルスの医療保険に加入していて、その保険が使える調剤薬局で薬を買うと他の調剤薬局よりも安く薬が買えます。
自己負担が少なくて済みます。
だからこそユナイテッドヘルスの保険に加入する人が増えるんです!
整理すると…
ユナイテッドヘルスはまさしく超絶深い堀を構築できているので、この牙城が崩れることが想像できません。
深い堀とは、永続的な競争優位性のことを言います。
株価に振り回されずに忘れたように保有してください。