不思議なこと

#444

こんにちは、チャーリーです!

証券マン時代なら何とも思わなかったことが、何とも思わないどころか当たり前のように思っていたことが、勉強し直して長期投資に頭を切り替えてから不思議に思うことがちょくちょくあります。

 

今回は、その1例を挙げたいと思います。

2021年12月3日の日経新聞19面に掲載されていた記事です。

 

 

画像引用元:日本経済新聞(2021年12月3日朝刊19面)

 

簡単に言うと

「今年の12月は例年にないくらいIPO(新規上場株)が多いので、そのIPOに申し込むための資金確保に保有株のマザーズ銘柄を売却している」

「その換金売りのために株価が大きく下落している」

といった内容の記事です。

 

確かにIPO(新規上場株)は初値が公募価格を大きく上回るケースがあります。

例えば、2021年11月24日に上場したサイアーツ(4412)公募価格1,710円だったものが、上場日の初値が4,545円を付けたので約2.65倍になりました。

これを狙って、わざわざ保有株を売却してIPO(新規上場株)の申し込みをしているんです。

 

 

ただ、何が不思議と感じているかというと…

・IPOは抽選や証券会社の総合的な判断により配分が決まります。

※ 初値が大きく上がるような人気銘柄は引き受け株数の10倍以上の申し込みがあるため、自分に配分がある確率はかなり低い

・配分があったとしても100株単位の銘柄なら100株か、多くても300株だと思います。

 人気銘柄であればあるほど、当然配分株数が減りやすくなります。

・IPOに申し込むときは、一般的には可能な限り多くの株数を申し込みます。

 

以上のことを踏まえて想像してみてください。

上記の11月24日に上場したサイアーツ(4412)を例に考えてみます。

サイアーツのIPOを申し込むときの仮条件が1,510円~1,710円でした。

※ 通常、上限で申し込みをしないと配分されません。

申し込むときは可能な限り多くの株数を申し込むので、仮に1,000株申し込んだとします。

ネット証券の場合は1,000株申し込むためには、1,710円×1,000株=1,710,000円の資金がないと申し込むことすらできないので、今保有しているマザーズ銘柄を売却して171万円の資金を作らないといけません。

 

東証マザーズ指数の推移を見ると、90%以上の投資家が損で売却していると思います。

※ 基本的にマザーズ銘柄に投資している人は20%前後の評価損を抱えています。

 

この20%の評価損をそのまま当てはめると、171万円分の資金を作るために、427,500円の損切りで売却したことになります。

買付代金2,137,500円、売却代金1,710,000円、損失427,500円(20%の損)

 

ここで運よくサイアーツの配分が100株あったとします!

上記の通り、公募価格1,710円が初値で4,545円になったので、100株で283,500円の利益が取れました。

 

でもIPOを申し込むための資金確保のために427,500円の損切りをしているのでトータルで144,000円のマイナスになっています。

しかも、一般的にはIPOの申し込みは人気銘柄は10倍以上の需要があるため、配分される確率は極めて低いです。なので、1銘柄だけの申し込みにはせず、人気銘柄は複数銘柄申し込みため、もっと多くの資金作りをしないといけません。

ということはもっと損切をしないといけないということになります。

 

 

これが個人投資家の現状です!

「なんでそんなバカみたいなことするの??」って思いますよね。

「なんでIPOを申し込むためのお金を最初から確保せずに、投資に回してしまったの??」って思いますよね。

これが俗にいう“欲”なんです!

目先の利益だけしか目に入らず、トータルでは損することなど全体が見えなくなっているんです。

 

自分は他人よりも優れている、自分ならうまく立ち回れるはずだと思い込んで、現金で置いておくのはもったいない!、短期で売り抜ければいいんだ!と“欲”を出してしまったんです。

 

 

整理すると…

文字でこういう事例を読むと、ギャグ漫画じゃあるまいし…って思うと思います。

投資で継続的に勝とうと思ったら、“欲”に勝たなければいけません。

欲に勝ちましょうって「言うは易し行うは難し」なのは重々承知していますが、まずは認識することからスタートしましょう!

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