地銀による資産運用

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こんにちは、チャーリーです!
タイトルに書いた「地銀による資産運用」というのは、地銀の行員がお客様に勧めている運用商品のことではありません。
地銀が自己資金で運用していることです。
地銀は自行の資金でどういう運用をしているんでしょうか?
2023年3月21日の日経新聞にその答えが書いてありました。
画像引用元:日本経済新聞(2023年3月21日朝刊9面)
この日経新聞の記事によると、地銀は投資資金を外国債券から高配当ETFにシフトしています。
具体的には「NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信(日経高配50)」というETFです。
流れはこんな感じです。
① これまで利回りの高い外国債券への投資を増やしていた
② 外貨の調達コストが上昇した&外国債券投資で大損した
③ 外国債券の代わりに高配当の日本株にシフトした
「外貨の調達コストが上昇した」という以前の話で、地銀は利回りを求めて外国債券に投資資金をシフトしてきましたが、世界的な利上げにより長期金利が上昇したために外国債券で大損しました。
長期金利が上がったら債券価格が下がるので損するんですが、ここでは難しく考えず、外国債券(主に外国の国債)に投資して大損したという事実だけ押さえておけば十分です。
これは地銀に限らずメガバンクもそうです。
2022年12月末時点での外国債券による含み損は以下の通りです。
※ 決算短信から数字を抜粋しました。
三菱UFJ:1兆5,711億円の評価損
三井住友FG:8,553億円の評価損
みずほFG:9,163億円の評価損
3グループ合計:3兆3,427億の評価損
地銀は数が多いので調べられないですが、銀行は日本国債に投資しても低い利回りしか得られないので、利回りが高い外国債券に投資した結果がこれです。
このように外国債券で失敗して、且つ調達コストが上がったことで外国債券に投資しても思うような利回りが得られないので、今度は高配当の日本株に投資するという流れです。
高配当の日本株に投資資金を大きくシフトしているのは地銀であって、メガバンクではありません。
銀行の運用ルールを私が知らないので、こうなってしまう理由があるんだと思うんですが(理由がないと困りますが)、単純に思うのは「なんで年金運用をしているGPIFの運用を参考にしないのか??」ということです。
国民の金融リテラシーを憂う前に金融機関の金融リテラシーをどうにかした方がいいと思います。
高配当の日本株に投資するのがいいとか悪いとかの話ではないんです。
何かに投資して失敗したら、次の商品に切り替えるやり方が問題だと思います。
リスク管理を気にするんなら前述した年金運用をしているGPIFみたいに分散して長期投資すればいいのに…
長期投資が可能な資金だけ運用に回せばこんなことにはならないのに…
高配当の日本株で失敗したら今度は何に投資するんだろうか…
整理すると…
ハッキリ言って反面教師にした方がいい事例です。
幼稚園児のサッカーみたいにボールがあるところにみんながワ~っと集まって、またボールが違うところに飛んでいったら全員揃ってがワ~っとボールに向かっていくのに似ています。
目の前のボールしか見てないのでそういうことになるんです。
もしくは、もっと最悪なケースかもしれません。
エリート集団なので、「俺たち(私たち)の知識・能力をもってすれば投資でうまくいく」と思って投資しているとしたら最悪です。
その可能性もゼロではないような気がします…
そう考えるとGPIFは2001年から年金資金を運用していますが、銀行の運用みたいなことにはなっていないので凄いです!
2022年12月末時点だと2001年からの累計で約2倍になっています。
何も考えず銀行もGPIFの真似をすればいいのに…