個人投資家、10年ぶり買い越し
#471
東京証券取引所が2022年1月7日に2021年の「投資部門別売買状況」を発表しました。
この「投資部門別売買状況」によると個人投資家が日本株を2011年以来の10年ぶりに買い越ししたことがわかりました。
この件に関しては2022年1月8日の日経新聞朝刊5面でも取り上げてありました。
さっそく2012年から過去10年間の個人投資家の売買動向を調べてみたいと思います。
以下の金額は東証一部、東証二部、東証マザーズ市場、東証JASDAQ市場の合計額です。
投資部門別売買状況のデータはこちら
これだけ見ていると、個人投資家は日本株に対してはずっと売り越しという印象しか残らないですが、東証マザーズ市場だけを見ると印象がガラっと変わります。
東証マザーズ市場だけの個人投資家の売買動向
過去10年間全ての年で買い越ししています。
個人投資家は東証一部銘柄よりも値動きが軽い東証マザーズ市場の銘柄を好んで買っていることがわかります。
ここで1月8日の日経新聞に書かれてあった内容を一部抜粋します。
・「米株でミーム株の急騰現象などを目の当たりにし、日本でも信用買いを含めた株式投資を始めた若年層は多い」(国内証券)
・20代の女性は米国株投資で得た利益を元手として「コロナ禍をきっかけに、急落した国内の旅行や航空関連銘柄に買いをいれるようになった」と話す。
この抜粋コメントを読んでどう思いましたか??
私は、「信用買いを始めた若年層」も「20代の女性」も天才投資家でない限り、結局はトータルで儲けることは難しいなと思いました。
信用取引をしている人は欲に勝てる人じゃないとそもそも無理です!
簡単に説明すると、担保が100万円あったら、証券会社からお金を借りて担保とは別に最大333万円まで株を買うことができます。
最初は誰しもが借金での投資なので慎重に取引をします。
例えば、最初は信用取引で買うのは100万円分までにするなど。
ただ、それがうまくいき始めるとどんどん信用買いの金額を増やしていくのが人間なんです。
マザース銘柄を短期売買している人は、成功に対して再現性が乏しいので結局は損してしまう確率が極めて高いです。
20代女性のパターンも同じです。
米国株で得た利益と書いてあるので、売却して利益を確定していることがわかります。
その資金を日本の航空関連銘柄などに投資しているんです。
航空関連株がどうこうじゃなくて、米国株でも日本株でも短期売買を繰り返すとどういう結末になるかは言わなくてもわかると思います。
このことが想像しにくい人はこう考えてください。
過去10年間、日経平均株価に投資をして一度も売買しなかったとしたら、資産が3.38倍になっています。
自分自身も含めて、知り合いでここ10年間で投資資金が3.38倍になった人はいますか??
もし3.38倍になった人がいないとしたら、売買を繰り返すことでパフォーマンスが落ちていることに気付くと思います。
整理すると…
個人投資家は東証マザーズ市場ではずっと買い越ししています。
これは単純にマザーズ銘柄は会社の規模が小さいので値動きが軽いからです!
でもそういう銘柄に投資をして短期売買を繰り返せば繰り返すほど、天才投資家じゃなければパフォーマンスがどんどん落ちてしまいます。
そして最後には損して終わる…
このことに早く気付いて反面教師にしましょう。