円安はいつまで続くのか??
#667
「円安はいつまで続くんですか??」
「どこまで円安になると思いますか??」
この質問をされる回数が異常に多いです。
正直な話、どこまで円安になるのか全くわかりません。
これは為替に限ったことではなく、株価にしてもそうです。
素直な気持ちを書くと、短期的な動きは予想するだけ無駄だと思っています。
再現性が乏しいので短期的な値動きを予想する根拠が見い出せないからです。
ただ、俯瞰的に見ると「円安はいつまで続くんですか??」の質問には答えられるような気がします。
今回はそのことについて書いていこうと思います。
まずは為替の推移を見てください。
2022年9月13日の日本時間9:00時点では142.50円前後で推移していますが、2022年9月7日には144.98円まで円安が進みました。
この為替水準は1998年8月25日以来の24年ぶりの円安水準です。
そもそもなぜこんなに急激に円安が進んだかというと…
2022年8月26日のジャクソンホール会議でのFRBのパウエル議長の発言が大きかったです。
パウエル議長の発言内容
「物価を安定させるには一定の時間が必要」
「需給のバランスが安定するまで強く対策を講じる」
「7月の消費者物価指数(CPI)の伸びが鈍化しただけでは、インフレ率が低下していると確信するにはほど遠い」
意訳すると、「インフレが鈍化してきたとは思えないので、インフレを抑え込むために引き続き力強く利上げを続けていく」と言いました。
しかも、パウエル議長の講演時間は30分の予定でしたが、意志が強いことを伝えるために、伝えたいことだけを伝えて約9分間で講演を終わらせました。
このパウエル議長の発言に加えて、2022年9月2日に発表された雇用統計などの経済指標が堅調だったので、9月20日21日に開催されるFOMC(連邦公開市場委員会)で0.75%の利上げを確実視する動きで急激な円安になりました。
前置きが長くなりました。
ここで考えないといけないことは、「何が原因で円安になっているのか??」ということです。
この答えは単純です!
インフレ(物価高)が原因で円安になっています!
「インフレはいつまで続くのか??」ということと、「いつまで円安が続くのか??」ということはイコールだと考えてもいいと思います。
そうなるとヒントになるのは1つしかありません。
FOMC(連邦公開市場委員会)のメンバーが経済予測を発表しているのでその発表内容がヒントになると思います。
※ 利上げなどの金融政策は、FOMCメンバーの投票によって決められています。
FOMCメンバーによる物価見通し(2022年6月15日に発表されたもの)
PCE(個人消費支出)物価指数
2022年:5.2%
2023年:2.6%
2024年:2.2%
変動が激しい食品・エネルギーを除くコア指数
2022年:4.3%
2023年:2.7%
2024年:2.3%
2022年6月15日に発表されたFOMCメンバーによる経済予測を見る限りだと、2023年にはインフレはかなり鈍化すると予測されています。
今後、経済予測が変更になる可能性はありますが、2023年中には概ねインフレは鈍化すると考えてもいいと思います。
そうなるとドル/円の為替相場も2023年中には今よりかなり円高になると思います。
あんまりムキになって円安予想しない方がいいです。
ドル預金(外貨預金)をする人が急増しているというニュースを見ましたが、冷静になって考えてください。
金利のメリットより為替で損するデメリットの方がかなり大きいです。
整理すると…
FRBのパウエル議長がジャクソンホール会議でインフレを抑え込むという強いメッセージを伝えたことでもわかるように、FRBは今の歴史的な高インフレを一刻も早く鎮静化させたいんです。
今の円安はアメリカの歴史的な高インフレによるものなので、物価さえ収まれば円安も収まります。
FOMCメンバーによる経済予測を額面通り信じると、2023年中にはインフレは許容範囲まで下がります。円安もそう長くは続かないと思われるので冷静に判断してください。