ESG投資を再度考えてみる
#354
こんにちは、チャーリーです!
2021年8月20日に公的年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が「2020年度ESG活動報告」を発表しました。
その「2020年度ESG活動報告」の中にGPIFが実際に投資しているESG関連の投資パフォーマンスが載っています。
それがこちらです。
この表は半分より左側が2017年4月~2021年3月(過去4年間)の年率換算の上昇率が載っています。
半分より右側が2020年4月~2021年3月(過去1年間)の年率換算での上昇率が載っています。
親指数というのは、①~⑦の各指数の算出元になっている指数のことです。
→ ここでは無視してもいいです。ESGに投資しているという点では同じなので。
これを見る限りでは、過去4年間の運用成績はTOPIX(日本株の市場平均)よりも上昇率が高いのがわかります。
過去1年だけで比較すると、TOPIXを下回っています。
4年間で市場平均を上回っているのでESGに投資した方がパフォーマンスが良いと言ってもいいと思います。
ただ、これはあくまで日本株(TOPIX)と比較しているだけなのでS&P500と比較していきたいと思います。
※ GPIFは外国株を対象にしたESG投資の投資期間が短いので、ここでは比較しません。
検証していくのは2つです!
・「S&Pグローバル中大型株ESG指数」と「S&P500」との比較
・日本のESG投信で一番(断トツ)に純資産残高が多い「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド」と「S&P500」との比較
まずはS&Pグローバル中大型株ESG指数から検証していきます。
この指数のチャートはS&Pグローバル社のホームページに載っています。
画像引用元はこちら
期間別に比較していきます。
最初は過去1年間
次は過去3年間
注意書きでも書いてありますが、実際この指数の算出が始まったのが2019年5月6日からです。
それ以前のデータは仮説に基づいてバックテストされたパフォーマンスらしいです。
2019年5月6日~2021年8月20日までの当該指数: +39.64%
同じ期間のS&P500: +51.46%
過去5年間
過去10年間
すべての期間でS&P500の方が上昇率が高いです!
続いて2つ目のグローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド『愛称:未来の世界(ESG)』を検証していきます。
ちなみにモーニングスターのホームページで「ESG」と検索して調べる限りでは、ESG関連の純資産残高は断トツで一番多いです!
1位:グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(1兆1216億円)
2位:グローバルESGバランス(H無)年2回決算型(434億円)
3位:one ETF ESG(285億円)
→ 1位の断トツぶりがわかると思います。
それでは比較してみます。
設定日の2020年7月20日からの比較です。
未来の世界(ESG): +23.62%
S&P500: +36.30%
比較対象期間が短いのであんまり参考にならないかもしれませんが…
声を大にしてハッキリ言っておかないといけないのは、決してESG(環境・社会性・ガバナンス)を無視した方がいいというわけではありません!
実生活でのESGは最優先に考えるべきことです!!
ただ、投資対象としては市場平均(S&P500)を下回っているので避けた方がいいと言いたいんです。
整理すると…
だいぶ前のブログでも指摘した通り、ESG投資は投資としてはうまくいっていないという結果になりました。ESGを頑張っている企業を応援したいのであれば、投信や指数に投資するのではなく、個別の企業に投資すべきだと思います。
例えば、アップル、スターバックス、ウォルトディズニー、マイクロソフト、ビザなど調べたら積極的にESGに取り組んでいる企業はいくらでもあります。