予想を上回る増加!! 米就業者数の推移を調べてみる

#312
こんにちは、チャーリーです!
毎月第一金曜日にアメリカの雇用統計が発表されます。
雇用統計とは、失業率や非農業部門の就業者数や平均時給などを発表しています。
※ 今回発表になったのは、2021年6月の雇用統計です。
今、市場関係者の間ではいつも以上に雇用統計が注目されています。
それは、FRBがテーパリング(FRBが国債などを買い付ける金額を減らしていいくこと)を行うかどうかの判断材料の1つだからです!
FRBは「物価上昇率の安定」と「雇用の最大化」を目指しています。
雇用に関しては完全雇用状態になるまでは、金融緩和は続く見通しです。
→完全雇用の目安は、失業率4.0%
今回発表された主な内容は以下の通りです。
・失業率5.9%(2021年5月は5.8%)
・非農業部門の就業者数が2021年5月よりも85万人増えた
→市場予想は70万人の増加だったので予想を15万人上回りました
ただ、この数字だけ見てもいいのか悪いのか、何がどうなのかさっぱりわからないので過去の推移を見てみます。
以下の表は全て米労働省労働統計局が発表している数字を拾って作成しています。
米労働省労働統計局はこちら
失業率
失業率は徐々に改善してきていますけど、完全雇用の目安である4.0%まではもう少しといったところです。
非農業部門の就業者数
こちらも最悪期からは就業者数は増えてきて、コロナ前の水準の95.56%まで回復しています。実際の人数でいうと、あと677万人就業者数が増えるとコロナ前まで完全に回復します!
ただ、あと677万人というのがなかなかキツイ数字なんです。
仮に今回発表された非農業部門の就業者数が85万人増加というのが、ずっと続いたとしても約8ヶ月もかかってしまいます。
なかなか雇用のペースが上がってこないのは、「失業給付の特別加算」があるからだと言われています。
米政府はコロナ対策の一環で9月6日まで失業手当を週300ドル(約33,000円)を上乗せすることを決めています。この手厚い給付があるので、なかなか労働市場に人が戻ってこないという事態に陥っています。
労働市場に人が戻ってこないので、一例を出すと、アマゾンは「今契約すれば、ボーナスを1500ドル(約16.5万円)支給する」という求人を出しているくらいです。
→人件費が高騰していること、人がいないので生産活動に支障が出ていることで物価が上がっているという弊害もあります。
このことを受けて全50州の内、共和党が州知事を務めている25州と民主党が州知事を務めている1州では9月6日を待たずに、6月~7月で「失業給付の特別加算」を打ち切ることを決めています。
※ バイデン大統領は民主党
整理すると…
失業率も非農業部門の就業者数を見ても少しずつ改善してきていることがわかりますが、「失業給付の特別加算」が足かせになって、労働市場に人がなかなか戻ってきていないのが実業です。
労働市場に人が戻ってこないので、人件費が上がって物価が上がっているというもの忘れてはいけないと思います。逆説的にいうと、労働市場に人が戻ってくれば物価は落ち着くということです。FRBのパウエル議長が想定している通り、物価上昇は一時的で終わる可能性は十分にあると思います。