2021年11月の米雇用統計

#445

こんにちは、チャーリーです!

FRBのパウエル議長が、11月30日の議会証言で「インフレに対して一過性という表現を使わないことにした」とか、「テーパリングを加速させてテーパリング終了時期を前倒しにする議論をする」と発言したため、株式市場は軽いパニック状態になっています。

 

パウエル議長の発言から推測すると、雇用よりも、インフレ対策を優先して金融政策の運営をしていくと思われますが、雇用状況も無視したらいけません。

 

今のインフレは「消費者の購買意欲が強い」というよりも、人手不足により生産・供給が滞っている」というニュアンスが正しいと思います。

なので雇用状況もチェックしておく必要があります。

 

 

2021年12月3日に11月のアメリカの雇用統計が発表されました。

雇用統計とは

非農業部門の就業者数、失業率などのことです。

 

さっそく今回の発表内容を調べていきたいと思います。

以下の表はすべて米国労働省統計局のホームページから抜粋したものや、数字を拾って作成したものです。

国労働省統計局のホームページはこちら

 

まずは非農業部門の就業者数から

 

この推移を見ると2020年4月にロックダウンしないといけないくらいコロナが大流行したときから少しずつ着実に就業者数が労働市場に戻ってきていることがわかります。

ただ、この表ではわかりにくいですけど、就業者数の伸びが良くなかったんです。

 

市場関係者の間では2021年11月は2021年10月から就業者数が53万人程度増えると予想されていましたが、速報値ベースでは21万人しか増えませんでした。

予想の半分も増えていない(労働市場に人が戻ってきていない)ことになります。

 

企業が賃金を引き上げているし、手厚い失業手当の支給が終わっているにも関わらず、労働市場に人が戻ってきていないんです。

 

 

次に失業率を見てみます。

失業率は4.2%まで低下していて、完全雇用の目安とされている4.0%までもう少しというところまで改善してきています。

 

失業率が改善??

労働市場に人が思うように戻ってきていないんじゃなかったの??

と疑問に思います。

 

それについては、労働参加率がポイントになります。

労働参加率とは

働くことが可能な人の内、実際に働いている、もしくは職を探している人の割合です。

 

労働参加率の推移を見ると、明らかに戻りが鈍いことがわかります。

 

これにはいろいろな考え方ができると思います。

・アメリカはまだコロナの新規感染者数が毎日10万人程度いるので、積極的に働きたくない。

・60代は貯金もそれなりにあるため、職場復帰しない人も少なくない。

※ 「ウォール街のランダムウォーカー」の著者で米プリンストン大学名誉教授のバートン・マルキール氏が考える説。

・コロナ禍で急激な株高になったために、職場復帰しない人がいる。

※ 俗にいうFIRE(経済的に自立することで早期退職すること)です。

 

上記のことから言えることは、失業率だけ見ていたらいけないということです。

今みたいに労働参加率が低い状態で失業率が改善していたとしても意味がないからです。

 

 

整理すると…

今のインフレを抑え込むためには、労働者不足を解消するしかありません。

労働市場に人が戻ってきている人は着実に増えてきてはいますが、ペースが遅いためインフレはもうしばらく続くと予想されます。

株式市場にとっては逆風が吹く状況が続くと予想されますが、耐えましょう!

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