2,000万円問題を振り返る

#706
こんにちは、チャーリーです!
「2,000万円問題」って覚えてますか??
「2,000万円問題」は、2019年6月に金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループの報告書「高齢社会における資産形成・管理」が公表されて、老後は生活資金が2,000万円必要になると大騒動を巻き起こしました。
この報告書に対して当時の麻生金融担当相が報告書の受け取りを拒否する事態が発生しました。
そもそも「2,000万円問題」って何だったけ??と忘れている人もいると思うので概要を説明します。
報告書で想定されていたケース
2017年の平均データ
夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦(無職世帯)の月額の収支
年金などの収入だと「毎月54,520円不足」してしまいます。
実収入209,198円−実支出263,718=54,520円不足
毎月54,520円不足するので1年間だと「654,240円不足」します。
54,520円×12ヵ月=654,240円不足
人生100年時代ということを考えて30年間この生活が続くと仮定すると…
30年後、夫95歳・妻90歳
1年間で654,240円不足するので30年間だと「19,627,200円不足」します。
これが「2,000万円問題」の全容なんです。
老後資金として金融資産(預貯金など)で2,000万円が必要になるという話です。
上記のデータは総務省の家計調査というデータから計算されています
総務省の家計調査はこちら
この「2,000万円問題」が勃発したことで老後資金の2,000万円を確保するために資産運用のブームが起きたことも事実です。
正直、「2,000万円問題」が勃発した2019年6月までは、つみたてNISAやiDeCo(イデコ)、インデックスファンドなどはそこまで認知されていなかったと思います。
上記で計算した
「毎月54,520円不足」
「1年間だと654,240円不足」
「30年間だと19,627,200円不足」
というのはあくまで2017年の平均データから計算されいます。
その後どうなっているのかを総務省の家計調査から計算していきたいと思います。
まずは2018年
不足金額
1ヶ月:41,873円不足
1年間:502,476円不足
30年間:15,074,280円不足
???
30年間の不足金額が約1,500万円に減っています。
次は2019年
不足金額
1ヶ月:33,270円不足
1年間:399,240円不足
30年間:11,977,200円不足
???
またしても不足金額が減っています。
次は2020年
不足金額
1ヶ月:1,541円不足
1年間:18,492円不足
30年間:554,760円不足
30年間の不足金額がたった55万円??
最後に2021年
不足金額
1ヶ月:22,106円不足
1年間:265,272円不足
30年間:7,958,160円不足
2020年よりは不足金額は増えていますが、30年間の不足が約800万円になっています。
2017年と比べて激減しています。
2017年がたまたま不足金額が多い年だったのかどうかはわかりませんが、夫95歳・妻90歳まで夫婦で生活したとしても2,000万円も不足しなさそうです。
どの年を見ても支出はたいして変わりません。
変わっているのは収入です。
2020年、2021年はコロナの給付金があったので収入が増えたのはわかります。
そう考えると2019年の11,977,200円不足くらいを考えていればいいような気がします。
金融庁は投資を促すために意図的に2017年のデータをあえて採用したんでしょうか??
もしそうだったら金融庁は諸葛孔明とか黒田如水並みの策士です!
「2,000万円問題」が勃発したことで間違いなく投資する人も数は増えたので。
整理すると…
夫65歳以上・妻60歳以上(無職世帯)の平均値を見れば年金だけでは老後資金が賄えないことはハッキリしていますが、計算上は2,000万円も不足することはなさそうです。
「2,000万円問題」が勃発したときに将来に対して不安になった人もいると思いますが、1,200万円の不足(2019年データ)だと若いうちからコツコツ貯金していくだけでも対応できる金額だと思います。
35歳から30年間、毎月33,333円ずつ貯金していけば1,200万円は貯まります。
このことさえ前提でわかっていれば無理して大きなリスクをとって運用する必要もなくなってしまいます。
「2,000万円問題」をネタに営業されても騙されることもなくなります。
世の中で流行っているS&P500とか全世界株式のインデックスファンドへの投資は今後はどうなっていくんでしょうか…